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2011/10/5

ゲシェフトフューラーの豆知識

事業所委員の雇用主批判、事実に基づいていれば解雇は不当

この記事の要約

事業所委員会(Betriebsrat)は被用者の利害を代表する社内機関である。このため、被用者の権利が侵害されているような場合、その是正に向けた活動を行う。その際、会社内部の問題を外部に公表する形で批判することは果して許 […]

事業所委員会(Betriebsrat)は被用者の利害を代表する社内機関である。このため、被用者の権利が侵害されているような場合、その是正に向けた活動を行う。その際、会社内部の問題を外部に公表する形で批判することは果して許されるのだろうか。ここではラインラント・ファルツ州労働裁判所が7月に下した判決(訴訟番号:6 Sa 713/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのはパン工場の事業所委員長を務めていた女性社員。同社では休憩時間を有給で取るという被用者の権利が守られておらず、休憩した社員はその分、給与から差し引かれていた。原告はこれを問題視し雇用主に何度もかけあったが、聞き入れられなかった。このためテレビ局のインタビューを受けた際、この事実を発言。テレビ放送を見た雇用主は2010年3月、守秘義務に違反したとして即時解雇を通告した。原告はこれを不当として提訴した。

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裁判では第1審が原告勝訴を言い渡し、第2審のラインラント・ファルツ州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、事業所委員には憲法で保障された表現の自由に基づき公的な見解を表明できると指摘。批判内容が事実に即している限り、雇用主はそれを理由に処分することはできないとの判断を示した。最高裁への上告は認めていない。

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