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2012/8/1

総合 - ドイツ経済ニュース

「中国製太陽電池のダンピング調査を」、欧州企業が欧州委に申請

この記事の要約

欧州連合(EU)域内の太陽電池メーカー25社は7月26日、中国製太陽電池に対し反ダンピング措置を講じることを欧州委員会に申請したと発表した。中国メーカーが自国政府の不当な助成を受けてダンピング(不当廉売)を行い、公正な市 […]

欧州連合(EU)域内の太陽電池メーカー25社は7月26日、中国製太陽電池に対し反ダンピング措置を講じることを欧州委員会に申請したと発表した。中国メーカーが自国政府の不当な助成を受けてダンピング(不当廉売)を行い、公正な市場競争が妨げられていると主張している。米国はすでに中国製太陽電池に反ダンピング関税を課すことを仮決定しており、EUが追随するかが注目される。

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反ダンピング措置を申請した25社は「EU Prosun」というイニシアチブを立ち上げた。参加しているのはドイツ、イタリア、スペインなどのメーカー。ドイツ企業ではモジュール大手ソーラーワールドのほか、5月に倒産したSovelloが名を連ねる。欧州生産高に占める25社のシェアは反ダンピング措置の申請に必要な25%に達しているという。

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EU Prosunによると、米エネルギー省は中国の太陽電池メーカーに対する補助金や低利融資、軽減電力料金の適用を通した不当な助成額が計250億ユーロを超えると推定している。EU Prosunは中国メーカーがこうした不当助成を利用して製造原価を30~50%下回る価格で製品を販売していると指摘。欧州委に正式調査の開始を要請した。

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これに対し、中国メーカーはダンピングの事実はないと反論。反ダンピング措置は太陽電池価格の上昇につながり、消費者の利益に反するとして見合わせを求めている。

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欧州メーカーの反応は2つに分かれている。中国メーカーと取引のある企業が多いためで、ノルウェーのREC Solarは『ハンデルスブラット』紙に対し、通商摩擦をエスカレートさせるだけだとしてEU Prosunに反対の意向を表明。独ボッシュは公正な市場競争は必要だとしながらも反ダンピング関税は不毛だと批判した。

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欧州委はEU Prosunの申請を受け、正式調査を開始するかどうかを45日以内に決定する。正式調査を開始した場合は、ダンピング関税を課すかについて来年6月までに決定を下す。

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