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2012/8/1

経済産業情報

VWの中国合弁先、エンジン情報などを組織的に違法入手の疑い

この記事の要約

自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)と共同で合弁会社を運営する中国の第一汽車集団(FAW)が、エンジンをはじめとするVWの部品情報を不当な手段で組織的に入手・盗用しているもようだ。独経済紙『ハンデルスブラット(HB)』 […]

自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)と共同で合弁会社を運営する中国の第一汽車集団(FAW)が、エンジンをはじめとするVWの部品情報を不当な手段で組織的に入手・盗用しているもようだ。独経済紙『ハンデルスブラット(HB)』がVW上級管理職などの情報をもとに報じたもので、VWは同紙の問い合わせに対し「事実関係を確認する」と回答した。FAWはトヨタ自動車、マツダとも合弁事業を展開している。

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HB紙によると、FAWは少なくともVWのエンジン「EA 111」とギアボックス「MQ200」の設計情報を不当入手していた。

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EA111は「ポロ」「ゴルフ」に搭載されているエンジンで、FAWはシリンダーヘッドの間隔をわずか数ミリ変更した以外は全く同一のエンジンを作製した。このためVWのヴィンターコルン社長は2010年12月、FAWの徐建一(Xu Jianyi)社長に調査を要請。徐社長は11年春になって「開発エンジニアの個人的な勘違いが(模造エンジン作製の)原因だ。このエンジニアに‘厳しく注意’しておいた」と回答したという。

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こうした経緯があるにもかかわらず、FAWはその後もVW部品情報を不当入手。VWは最近になって、FAWがMQ200を模造したギアボックスの生産準備を進めている情報をつかんだ。FAWは模造ギアボックスを自社モデル「奔騰・B50」に搭載する意向という。同モデルはロシアに輸出される。

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FAWは本社所在地・長春に建設した工場でEA111模造品の生産を開始するという。だが、VWはこれまでのところFAWを知財権侵害で提訴していない。中国では裁判に勝訴する見込みがないほか、VWの最重要市場となった同国でビジネスに支障が出るのを避けたいという思惑が背景にあるようだ。2018年までに世界最大手メーカーになるという目標実現には同国市場での大幅拡販が欠かせない。

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VWは一連の情報をすべて取引先メーカーから入手したという。

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