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2012/8/1

経済産業情報

「バイオ燃料は持続可能な社会実現に貢献せず」

この記事の要約

ドイツ国立科学アカデミー(Leopoldina)は7月26日、国内のバイオマスエネルギー利用の可能性や問題に関する研究報告書『バイオエネルギー:可能性と限界』(英語タイトル:Bioenergy – Chanc […]

ドイツ国立科学アカデミー(Leopoldina)は7月26日、国内のバイオマスエネルギー利用の可能性や問題に関する研究報告書『バイオエネルギー:可能性と限界』(英語タイトル:Bioenergy – Chances and Limits)を発表した。同アカデミーはそのなかで、バイオ燃料は持続可能なエネルギー社会を実現するうえで「現在、将来のいずれにおいても大きな役割は果たし得ない」と指摘。バイオ燃料以外の再生可能エネルギーの利用拡大を推し進めるとともに、エネルギー備蓄システムとエネルギー効率改善を優先するよう提言した。

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報告書は、バイオ燃料は太陽光、太陽熱、風力など他の再可エネに比べ必要な土地面積が大きいうえ、◇土地利用の変化(森林破壊など)によってかえって温暖化ガス(二酸化炭素、窒素酸化物、メタンなど)の排出量が増加する◇肥料、農薬などの使用によって土壌・水質汚染を引き起こす恐れがある◇食糧との競合によって穀物価格の高騰を招く――などの問題もあると指摘。利用拡大は原則として「望ましくない」との見解を示した。輸送燃料に占める再可エネの比率を2020年までに10%に引き上げるという欧州連合(EU)の目標についても「再考の余地が大きい」としている。

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一方、制限つきながらもバイオ燃料を推奨できる条件として◇食糧と競合するでんぷん、糖類を原料とするバイオ燃料の生産・輸入を避ける◇リグノセルロース系バイオマスからのバイオ燃料生産では、作付・栽培から燃焼までの全過程を通した温室効果ガスの発生量が化石燃料の燃焼時よりも少ない――などを挙げた。

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