アルゼンチンに進出するドイツ企業が、同国の輸入規制に頭を痛めている。本国からの部品・製品輸入が極めて難しいうえ、正当な理由なく輸入免許を取り消されることもあるためだ。また「輸入に見合うだけのアルゼンチン製品の輸出」が輸入許可の実質的な条件となっていることもあり、独企業は現地生産への切り替えや農製品の輸出など、対応に知恵を絞っている。7月25日付『ハンデルスブラット』紙が報じた。
\アルゼンチンの輸入規制の背景にあるのは外貨準備高の急減だ。外貨(資本)のさらなる流出を阻止するため政府は昨年、輸入免許制を導入。今年2月には輸出入取引を事前申告制にするなど締め付けを強化している。
\輸入規制の影響は外国企業を直撃している。独農機大手Fendtの親会社である米AGCOはブラジルの工場からアルゼンチンに輸出していたが、その規模はわずか1年で10分の1にまで激減した。苦境を打開するため、アルゼンチンに1億4,000万ドルを投資してトラクター工場を建設する。
\衛生機器を製造する独中堅メーカーは「食品加工産業に不可欠の機器」のため、これまで輸入規制の対象となっていなかった。だが今年に入って状況は一変。税関審査の所要日数が従来の2日から10日に増加したうえ、5月には輸入ライセンスを取り消された。輸入業務担当者は「なぜ免許を取り消されたのか皆目見当がつかない」と当惑している。
\自動車大手のBMWは苦肉の策として農製品の輸出を始めた。アルゼンチン産のコメを輸出している。ポルシェもワインとオリーブ油の輸出に乗り出した。中堅メーカー数社は皮なめし用のタンニンを国外に出荷しているという。
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