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2012/8/1

ゲシェフトフューラーの豆知識

社員のノルマ、事業所委に知る権利

この記事の要約

社員に課したノルマについて事業所委員会(Betriebsrat)には雇用主から情報を請求する権利があるのだろうか。この問題をめぐる係争で、ハム州労働裁判所が3月に判決(訴訟番号:13 TaBV 100/10)を下したので […]

社員に課したノルマについて事業所委員会(Betriebsrat)には雇用主から情報を請求する権利があるのだろうか。この問題をめぐる係争で、ハム州労働裁判所が3月に判決(訴訟番号:13 TaBV 100/10)を下したので、ここで取り上げてみる。

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被告企業では企業顧客向けコンサルティング部門の社員に対し長年、ノルマを課してきた。ノルマは月に1度のミーティングで決定、各社員と管理職は目標合意書という名の文書に署名する。

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同社の事業所委員会は無理なノルマ設定により社員が健康を害する恐れがあるなどと主張し、ノルマに関する情報提供を雇用主に要求。これが拒否されたため提訴した。

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第1審のボーホルト労働裁判所は原告の訴えを棄却した。一方、第2審のハム州労裁は原告勝訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、労災・職業病の予防と健康保護に関する社内規則について事業所委員会に共同決定権(Mitbestimmungsrecht)があるとした事業所体制法(BetrVG)87条1項7の規定を指摘。ノルマは社員にストレスをもたらすため共同決定権の対象になるとして、雇用主に対しノルマに関する情報を同委に提供するよう命じた。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。

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