国内でほとんど栽培されなくなった大豆の生産拡大を目指す技術研究プロジェクトが、バイエルンやヘッセン州で進められている。国内需要の8割以上を南米や中国など海外からの輸入に依存する現状を改めるとともに、大豆輸出国の大規模なプランテーション開発や農地転用に伴う環境破壊の回避にも貢献する狙い。4日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
\ドイツでは1940年代半ばごろまで大豆栽培が広く行われていたが、戦後は栽培量が低下。国産より輸入の方が安価なうえ、伝統的な手法では栽培に適する土地が限られているためで、1980年頃を境にほとんど下火になった。
\その一方で、大豆の需要は家畜飼料、製油向けを中心に増加し続けている。世界自然保護基金(WWF)の試算によると、欧州連合(EU)域外からドイツに輸入される大豆の栽培に必要な農地はメクレンブルク・フォアポマーン州の面積にほぼ相当する250万ヘクタールに達するという。
\こうしたなか、NGOや有機農業団体などを中心に大豆の自給率引き上げに向けた取り組みが進んでいる。栽培面積は4,000ヘクタールとわずかなものの、規模は年々拡大傾向にある。地球温暖化を受けて、これまでは栽培に向かなかった北部ドイツでも耕作できる地域が増えていることは追い風になっている。
\州政府や大学などの研究機関でもプロジェクトが進められており、オスナブリュック専門大学(ニーダーザクセン州)、スイス有機農業研究所(FiBL)、Naturlandなどの産学共同研究チームは2011年、3年間の試験栽培プロジェクトを開始。バイエルン州農業省(LfL)はタンパク質補強飼料の自給率引き上げに向けた「タンパク質戦略」を導入し、栽培を後押ししている。ただ、生産コストは高く、商業化に向けたコスト引き下げなど、課題は多い。
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