営業日が法定の祝日に重なった場合、雇用主は被用者に賃金を支払わねばならない。これは「祝日および病欠時の給与支払いに関する法律(EntgFG)」2条に明記されたルールである。同3条には被用者が病気で仕事を休んだときにも雇用主は6週間を上限に給与を支給しなければならないと定められている。
\ところで、これらの規定は国外から派遣された労働者にも適用されるのであろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が4月に判決(訴訟番号:10 AZR 200/11)を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判は、労使協定に定められた休暇手当などの支給を保障するために独建設業界の労使が共同で設立した機関が、ポルトガルの建設会社を相手取って起こしたもの。同社は2007年と08年にドイツに労働者を派遣したが、被用者が病休した日と祝日には賃金を支給していなかった。原告機関はこれがEntgFGに違反しているとして提訴した。
\原告は第1審で勝訴したものの、第2審では逆転敗訴。最終審のBAGも2審判決を支持した。判決理由で裁判官はまず祝日の給与支払いに関するEntgFG2条の規定について、適用を受けるのはドイツ法に基づいて労働契約を結んだ被用者に限られると指摘。被告企業とポルトガル法で労働契約を結んだ被用者には適用されないとの判断を示した。
\また病休時の給与支払いに関するEntgFG3条の規定についても、ドイツの社会保険に加入している被用者を対象としたものだと指摘し、同国の社会保険に加入していない国外からの労働者には適用されないとの判断を示した。
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