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2012/8/22

企業情報

Agennix AG―がん治療薬の開発に失敗―

この記事の要約

独バイオ製薬企業Agennix(マルティンスリート)は7日、肺がん治療薬「Talactoferrin」の開発に失敗したと発表した。同薬はAgennixが開発する唯一の医薬品で、同社の先行きにはにわかに雲がただよってきた。 […]

独バイオ製薬企業Agennix(マルティンスリート)は7日、肺がん治療薬「Talactoferrin」の開発に失敗したと発表した。同薬はAgennixが開発する唯一の医薬品で、同社の先行きにはにわかに雲がただよってきた。株価はこの日、最大で75%下落した。

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北米と欧州、アジア太平洋地域の患者742人を対象に実施した第3相臨床試験で、延命効果が7.5カ月にとどまり、プラセボ(外観は本物の薬のように見えるが、薬効成分は入っていない偽薬)の7.7カ月を下回った。同薬は重症敗血症治療薬としての臨床開発も2月に打ち切られた経緯がある。

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Agennixは1996年設立のゲノム研究会社GPCが母体。GPCはゲノム研究事業に失敗したことを受け、がん治療薬「Satraplatin」の開発に注力した。だが、これも失敗したため、2009年、現オーナーのゲルト・ホップ氏(ソフト大手SAPの共同創設者)が資金注入してTalactoferrinを開発していた米Agennixと合併し社名をAgennixに変更。同薬の開発を進めてきた。

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コンサルティング大手Ernst & Youngのアナリストは今回の開発失敗について「ただ1つの新薬候補の開発に注力する戦略がいかに危険かを示す典型的な例だ」との見方を示した。

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