ブルーレイ3D規格で記録された映像を、裸眼3Dディスプレーでも見られるようにする映像変換処理システムを、フラウンホーファー通信研究所(ハインリッヒ・ヘルツ研究所、HHI)が開発した。「Real-Time Stereo-to-Multiview Conversion」と名付けられた同システムでは、3Dステレオ映像から複数の視差画像をリアルタイムで作成。市販の裸眼3Dディスプレーのほぼ全てのモデルで再生が可能という。
\映像に奥行き感や立体感がある3Dテレビの人気は高まりつつあり、わずらわしい専用メガネをかけずに立体映像を楽しめる裸眼3Dは市場拡大が見込めることから、家電メーカーは開発競争を繰り広げている。一方、ブルーレイ3Dに代表されるステレオ映像は専用メガネをかけて視聴することを前提に作成されており、裸眼3Dディスプレーで再生してもそのままでは3D効果を楽しむことはできない。視聴できるソフトが少なければハードの需要も喚起されず、市場拡大や普及の足かせとなりかねない。
\HHIはこうした事情を踏まえ、ステレオ画像からの多視差変換アルゴリズムの開発に着手した。今回開発したシステムでは、◇2枚の原画像を元に座標の視差(ディパリティ)を計算し、ディスパリティマップを作成◇エラーやひずみなどを検証した後、DIBR(depth-image based rendering:奥行き画像をベースにしたレンダリング)という手法を用いて立体画像を作成――という手順を踏む。DIBRを制御することで任意の数の視差画像を作成できるほか、使用する3Dディスプレーの特性に合わせて出力画像を調整することも可能という。ただ、現在は試作の段階で、市販レベルにこぎつけるには最低でも1年はかかる見通し。
\HHIは同システムを今年のIFAベルリンショー(8月31日~9月5日)で紹介する予定だ。
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