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2012/8/29

総合 - ドイツ経済ニュース

受診率アップで早期発見推進へ、がん対策法案閣議了承

この記事の要約

ドイツ政府は22日、がん対策法案を閣議了承した。同法案は連邦保健省が今年1月に提出した「がん対策推進国家計画(Nationaler Krebsplan)」に基づくもので、無料がん検診の通知対象を拡大して早期発見を推進。全 […]

ドイツ政府は22日、がん対策法案を閣議了承した。同法案は連邦保健省が今年1月に提出した「がん対策推進国家計画(Nationaler Krebsplan)」に基づくもので、無料がん検診の通知対象を拡大して早期発見を推進。全国統一のがん患者治療記録(レジストリー)も導入する。

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ドイツでは4人に1人ががんで死亡しており、循環器系疾患に次いで多い。がんは発生してから時間経過とともに全身に転移する可能性が高まるため、早期発見・早期治療によって生存率を引き上げることが重要になる。

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公的健康保険の加入者は一定年齢に達すると健保負担でがん検診を受けられるが、希望者が自主的に受診する方式のため受診率は概して低い。例外は50歳以上の女性の乳がん検診で、健保が検診を促す通知を定期的に発送することで、比較的高い受診率を達成している。

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今回閣議了承された法案では、乳がん検診のモデルに倣い、通知で参加を促す対象を子宮頸がんと大腸がんにも拡張する。また、地域によって方式が異なるがん患者治療記録を全国で統一し、治療成績の高い医療機関や治療法などのデータを取得できるようにする。検診およびレジストリー構築に必要な費用は健保が負担する。

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健保は法案の方向性を評価する一方で、がん患者レジストリーの構築費用を健保が全面拠出することには反発。公的健保の上位団体GKVは「レジストリーはがんの早期発見法に向けた研究や学術機関の認定にも利用されるが、これらの業務は健保の責任領域に入らない。それにもかかわらず健保が全額を負担するのは不当だ」として、法案の見直しを求めている。

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