歩行者や自転車が往来する街中を自律移動するロボットの公道走行試験が21日、ドイツ南部フライブルク市で行われた。「Obelix」と名付けられた同ロボットはフライブルク大学を中心とする国際プロジェクトチーム「EUROPA(=European Robotic Pedestrian Assistant)」が開発したもので、静止障害物と移動障害物(=歩行者、自転車など)をリアルタイムに判別して安全に回避しながら、予め設定された目的地まで移動する。デモ走行では、市中心部の4キロの道のりを約2時間かけて無事に走りとおした。
\Obelixは高さ1.7メートル、重量100キログラムで、ずんぐりした冷蔵庫のような風体だ。取り付けられたレーザースキャナーで毎秒10回、周囲を走査して障害物や地形変化などの3次元環境情報を取得するとともに、GPSデータから現在地を認識する。また、慣性センサーによるナビゲーションシステムで移動物体と静止物体を区別し、相手側の動きに合わせて自らの動きを調整する。
\21日の試験では1度だけ立ち往生し、手動で正しい路上に戻されたものの、それ以外では特にトラブルもなく走行できたという。同大のヴォルフラム・ブルクハルト教授は「Obelixは市内の至る所にある水路に一度も落ちることなく走行できた。フライブルクの伝説では水路に落ちたよそ者はフライブルクの市民と結婚することになっているが、我々はおかげで彼のお嫁さんロボットを作らずに済んだ」と、笑顔でコメントした。
\ブルクハルト教授によれば、歩行者同様に市内を自律走行できるロボットはObelixが世界で初めて。今回の試験走行の成功で、足腰の弱いお年寄りに代わって街中の薬局まで薬を取りに行く、荷物を届けるといった、生活空間で人と共存できるロボットの実現に一歩近づいた格好で、今後の技術進歩に期待がかかる。
\EUROPAは欧州連合(EU)の支援を受けて2009年3月~12年2月まで実施されたプロジェクトで、フライブルク大学、アーヘン工科大学の独2大学のほか、チューリヒ工科大学(スイス)、オックスフォード大学(英)、ルーヴェン大学(ベルギー)、スイス企業Blueboticsが参加した。
\Obelixの自律走行の様子はhttp://europa.informatik.uni-freiburg.de/videos.htmlで閲覧できる。
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