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2012/8/29

経済産業情報

ハイセキュリティメールをテレコムなどが開始

この記事の要約

連邦政府主導で開発されたハイセキュリティメール「de-Mail」サービスを電気通信大手のドイツテレコム(ボン)と1&1(モンタバウア)が31日から全国導入する。世界最大のコンシューマー・エレクトロニクス展「IF […]

連邦政府主導で開発されたハイセキュリティメール「de-Mail」サービスを電気通信大手のドイツテレコム(ボン)と1&1(モンタバウア)が31日から全国導入する。世界最大のコンシューマー・エレクトロニクス展「IFAベルリンショー」の開幕に合わせてのスタート。同様のオンライン信書・ハイブリッドメールサービス(E-Postbrief)を提供するドイツポストを追撃する。

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de-Mailは電子行政サービスの一環として連邦内務省の主導で進められてきたプロジェクトで、市民・企業と行政機関を結ぶ安全な電子メールサービスの提供を目指す。第三者による伝達経路上での傍受・改ざんを防止する非常に高いセキュリティシステムによって信書に匹敵する安全性が確保されており、送受信されたメールは紙媒体の公的文書と同じ法的拘束力を持つ。また、送受信時に必ず確認が行われるため、書留としての機能も併せ持つ。送信者・受信者ともにde-Mailにアカウントを取得していることが利用の前提で、なりすましなどの悪用を防ぐため、アカウント開設の際には認証機関が本人確認の手続きを行う。

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ドイツポストのE-Postbriefは送信者と受信者がともにアカウントを取得していれば電子データのままで送信さきる。また、受信者がアカウントを持っていなかったりインターネットを利用していない場合は、印刷されて通常の信書として配達される。アカウント開設に本人確認手続きが必要なことや傍受・改ざんを防ぐ高いセキュリティシステムが投入されている点ではde-Mailと変わりがないものの、料金は高い。1通(20メガバイト以内)の配信料金は55セント、書留料金(追加料金)は1.6ユーロで、紙の信書と変わらない。また、ドイツポストが印刷を引き受け信書として配達する場合の書留料金は2.44ユーロと、窓口で差し出す際の料金より高い。

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郵便業界団体DVPTによると、de-Mailの送達料金は1通(10メガバイト以内)で39セントで、E-Postbriefに比べ大幅に安い。1&1にはすでに100万人がアカウントの予約登録を済ませており、サービスが実際に開始されればドイツポストは劣勢に立たされる可能性がある。『ハンデルスブラット尾』紙によると、ドイツポストはこうした事情を受けて年内にもDe-Mailサービスを開始することを検討しているという。

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