航空貨物の爆発物検査で主に機械・装置(X線など)を使用しているドイツの空港に、爆発物探知犬の導入を目指す動きが出ている。連邦交通省の広報担当者が『ヴェルト』紙に明らかにしたところによると、航空大手ルフトハンザの物流子会社Lufthansa Cargoは連邦航空局(LBA)に爆発物探知犬チームの投入認可申請を行った。数カ月間にわたって実証試験を実施し、効率や精度などを検証していく。
\爆発物探知犬はフランスやオランダ、アジアの主要空港では広く導入されているが、ドイツの空港で現在、活用しているのは連邦警察と税関のみ。検査の対象も旅客と手荷物がメインで、航空貨物の分野では全く投入されていない。交通省の広報担当者によると、投入を禁止するルールはなく、「これまでLBAに認可申請が提出されたことがないため、認可を下ろしたことがない」に過ぎないという。
\一方、物流業界関係者はヴェルト紙に対し、爆発物探知犬の導入はかなり以前から打診しているものの、当局からその都度強い難色を示され、申請を実質的に阻まれてきたと話す。航空貨物の専門家はこの点について、「LBAの担当者が少なすぎることが問題。現行のセキュリティ業務をこなすのが精一杯で、検知犬にまで手が回らない」と指摘する。
\こうした事情にもかかわらず、当局が爆発物探知犬の導入に前向きになったのは、欧州連合(EU)域内の航空貨物検査が来年3月25日から強化され、従来の方法だけでは処理が追いつかなくなることが確実なためだ。アムステルダム、パリ経由で貨物を輸送する物流事業者は「検査のスピードはフランクフルトより格段に速い」と述べ、爆発物探知犬のメリットを強調する。
\Lufthansa Cargoは空港での実証試験を間もなく開始し、犬に任せた方が効率が高い分野などを検証する。年末まで試験を実施して結果を分析したうえで、来年3月の規制強化に向けて準備を進める考えだ。
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