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2012/8/29

経済産業情報

フランクフルト・ハーン空港が存続の危機に

この記事の要約

かつての米軍基地から民生用に転換され、現在は主に格安航空ライアンエアーの拠点として使われているフランクフルト・ハーン空港(ラインラント・プファルツ州)が存続の危機に立たされている。同空港に82.5%を出資するラインラント […]

かつての米軍基地から民生用に転換され、現在は主に格安航空ライアンエアーの拠点として使われているフランクフルト・ハーン空港(ラインラント・プファルツ州)が存続の危機に立たされている。同空港に82.5%を出資するラインラント・プファルツ(RP)州がインフラ負担の重さに耐えきれなくなっているためだ。監査法人大手プライス・ウォーターハウス・クーパーズ(PwC)によると、「運営事業者が資金獲得に向けて早急に取り組まなければ2013年3月以降の事業継続は極めて困難」という。

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ハーン空港は米軍が使用しなくなった後に民間空港として生まれ変わった(営業開始:1993年)。同空港にはフランクフルト国際空港運営会社のFraportが08年12月まで65%出資していたが、09年1月に全面撤退してRP州に出資分を譲渡して以来、同州が最大の出資者となっている。

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同州はハーン空港を雇用創出・経済活性対策として位置づけているものの、台所事情は厳しい。同州のローガー・レウエンツ交通相によると、旅客・貨物業務自体は黒字を確保しているが、インフラ負担が重荷となり、11年には1,060万ユーロの赤字を計上。自己資本は1年間で1,000万ユーロ目減りし4,400万ユーロへと落ち込み、負債(他人資本)は1億3,800万ユーロに膨れ上がった。

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同空港の旅客需要は現在も減少し続けており、「インフラ負担が軽減されなければ13年には(経営の)限界に達する」見通しで、RP州はインフラと空港運営を切り離したうえでインフラ売却を目指しているが、投資家探しは難航しているという。

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