患者の自己負担額が国内法で固定されている処方薬を、ドイツ以外の欧州連合(EU)加盟国にあるネット薬局がドイツ顧客向けに値引き販売することの是非めぐる裁判で、複数の最高裁判所の代表者で構成される合同法廷(Gemeinsamer Senat)は22日、国境を越えた販売であっても原則として国内販売同様の規定が適用され、値引きは認められないとの判断を示した。(訴訟番号GmS-OGB 1/10)
\被告の蘭ネット薬局は処方薬を購入した顧客に対し、薬価の3%(最低2.5ユーロ、最高15ユーロ)をボーナスとして割引いていた。これに対し国内で薬局を経営する薬剤師は、処方薬の患者負担額を固定する国内法に違反するとして、割引販売中止を求める裁判を起こした。
\連邦司法裁判所(BGH、最高裁)は10年9月、割引を認めない判断を示した(I ZR 72/08)。だが、連邦社会裁判所(BSG、最高裁)は08年7月に「国外の薬局に国内法の規定は適用されない」として値引きを認める判決(訴訟番号:B 1 KR 4/08 R)を下していたため、BGHは合同法廷を設置した。合同法廷が招集されることは極めてまれで、1969年からこれまでの件数は30にとどまる。
\処方薬を国内の薬局より安く販売することでシェアを獲得してきた国外のネット薬局は今回の判決を受けて、ビジネスモデルの変更を余儀なくされそうだ。蘭DocMorrisはドイツ顧客からの処方箋販売が売上全体の8割以上を占める。価格面でのメリットがなくなったことで顧客が流出する恐れがある。
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