パイロットのストライキでフライトがキャンセルとなった乗客が補償を求めていた裁判で、連邦司法裁判所(最高裁、BGH)は21日、欧州連合(EU)の定める補償ルールは適用されないとの判決を下した。ストライキは自然災害や戦争・内乱と同様に「不可抗力」に当たり、自社の社員が起こしたストであっても航空会社にこれを予測・回避することは不可能だったとの判断を示した(訴訟番号:X ZR 138/11とX ZR 146/11)。
\訴えを起こしていたのは、米マイアミ発デュッセルドルフ行きのルフトハンザ便を予約した乗客2人。1人は2010年2月22日、もう1人は翌23日の便で帰国する予定だったが、パイロット労組VCが22日に起こしたストの影響でフライトが取り消された。
\EUの発着便については、オーバーブッキングや運航キャンセルなどで搭乗できなかった乗客に目的地までの距離に応じて航空会社が250~600ユーロを支払う補償ルールがある。ただ、悪天候や政情不安、ストなどの予測不能な非常事態による欠航は免責とする例外規定があり、裁判では自社のパイロットが起こしたストも不可抗力に当たるかが争点となっていた。
\BGHの裁判官は、「ストライキは不可抗力として明確に規定されており、自社従業員が起こしたものか、セキュリティ係員や管制官など外部の空港職員が起こしたものかは問題にならない」と明言。また当該のストは“外部(VC)から”の呼びかけで引き起こされたと指摘したうえで、ルフトハンザは緊急ダイヤを組む以上の対策は取れなかったと言い渡した。
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