欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/8/29

ゲシェフトフューラーの豆知識

社員募集時の年齢制限で最高裁判決

この記事の要約

社員募集に際して年齢制限を設けることは一般平等待遇法(AGG)で禁じされた差別に当たり、差別を受けた(募集の年齢条件から外れた)応募者は損害賠償の支払いを請求できる。これについてはこのコラムで何度も取り上げてきた。では、 […]

社員募集に際して年齢制限を設けることは一般平等待遇法(AGG)で禁じされた差別に当たり、差別を受けた(募集の年齢条件から外れた)応募者は損害賠償の支払いを請求できる。これについてはこのコラムで何度も取り上げてきた。では、募集選考の結果、年齢条件に見合った応募者も含めて企業が誰も採用しなかった場合も、年齢条件から外れた応募者に損賠請求権があるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が23日に判決(訴訟番号:8 AZR 285/11)を下したので、ここで取り上げてみる。

\

裁判を起こしたのは被告企業が2009年6月に行った社員募集に応募した1956年生まれの男性。応募条件のなかには年齢25~35歳との項目があり、すでに50歳代に達していた原告は条件から外れていた。原告は書類選考で不採用とされた。

\

被告企業は書類選考を通過した応募者を対象に面接を行ったが、最終的に1人も採用しなかった。

\

原告は不採用となった後に、応募者の年齢を制限した被告の求人募集はAGGに違反するとして損賠請求訴訟を起こした。

\

第1審と第2審は、年齢条件にかなった応募者も含めて誰も採用されなかったことを指摘。原告に損賠請求権はないとして訴えを棄却した。

\

これに対し最終審のBAGは、採用された応募者がいなかったという理由だけで損賠請求権を否認するのは不適切だとして下級審のベルリン・ブランデンブルク州労働裁判所に裁判を差し戻した。差し戻し審では原告が(1)募集職種への適性を持っていたかどうか(2)採用されなかったのは年齢が高いためかどうか――の2点を審理したうえで判決を下すよう命じた。

\