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2012/9/5

経済産業情報

GMR素子を印刷で形成、低コスト化に道

この記事の要約

センサーやハードディスクのヘッドなどに使われる巨大磁気抵抗(GMR)素子を、プリンティング(印刷)技術を用いて形成する手法を、ライプニッツ固体・材料研究所(IFW)とケムニッツ工科大学の研究チームが開発した。印刷によるG […]

センサーやハードディスクのヘッドなどに使われる巨大磁気抵抗(GMR)素子を、プリンティング(印刷)技術を用いて形成する手法を、ライプニッツ固体・材料研究所(IFW)とケムニッツ工科大学の研究チームが開発した。印刷によるGMR素子作成に成功したのは同チームが世界で初めてという。

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GMR素子は物質の電気抵抗率が磁気の変化によって数十倍に変化する「巨大磁気抵抗効果」を利用した素子。常温で作動するGMR素子は、強磁性金属と非磁性(または反強磁性)金属の薄膜を重ねて作る。

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GMR素子作成には真空成膜、スパッタ法などの手法があるが、製造コストが安い印刷による作成法はこれまで開発されていなかった。また、従来の手法はセラミックやガラスなど堅い基板上に成膜するため、柔軟性のある素材に組み込むことが困難という難点があった。

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研究チームはこうした事情を踏まえ、フレキシブル基板上に作成できる印刷法の開発に着手。試行錯誤の末、基板上に一旦GMRの多層膜を作成した後にこれをはがし、特殊なインクに加工して印刷するという方法を編み出した。紙やプラスチックフィルムなど柔軟な素材に直接GMRセンサーを作成できるほか、印刷で作成される他の電子部品に簡単に組み込めることも可能という。

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研究の成果は『Advanced Materials』(2012年8月28日号)にトップ記事として掲載された。

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