自動車保険業界がフロントガラス破損修理の増加に頭を痛めている。ドイツ保険協会(GDV)のノルベルト・ローリンガー損害・事故保険部会長が『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙に明らかにしたところによると、ガラス破損に伴う保険金支払いは増加の一途をたどっており、2010年に車両保険が適用された350万件のうち260万件をガラス破損が占めた。同部会長は、「自動車ガラス修理大手が大規模な広告でドライバーの不安をあおっていることが大きい」と述べ、名指はしなかったもののCarglasやJunited Autoglasなどの全国チェーンを批判した。
\損保業界にとって自動車保険は極めて重要だ。保険料収入は210億ユーロで、損保最大のシェアを占める。また、多くの顧客にとって自動車保険は保険とつきあう入口に当たるため、保険会社にとっては顧客との長期的な関係を構築するうえで大きな役割を果たす。激しい価格競争のなかでも市場は拡大し続けており、2011年の自動車保険料収入は前年比で3.5%増加。今年(12年)は約5%の成長が見込まれている。
\GDVのローリンガー委員長は、「ガラス修理事業者は大規模な広告を展開し、どんな小さなガラスの傷でも放置すると全壊するかのような不安をドライバーに与えている」と述べたうえで、修理の必要のない些細な傷で修理に持ち込むドライバーが増え、保険金支払い額も増加していると指摘。「保険会社の負担が今後も増え続けるようなら、保険料の値上げが避けられない」として、修理事業者の事業戦略を批判した。
\これに対しCarglasの担当者は、「飛び石などによる軽微なガラス破損を低料金で修理する方が、あとで破損が広がってガラス全部を交換するよりトータルでは安上がり」と述べ、批判は当たらないと反論した。
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