エネルギー大手の独エーオンとブラジルの戦略提携先MPXがチリに巨大石炭発電所を共同建設する計画に対して予定地の住民が起こした差し止め訴訟で同国の最高裁は8月28日、建設を禁止する判決を下した。判決理由で裁判官は、建設に向けて行われた環境アセスメント調査は不当で、建設許可は違法だと指摘。両社に対し環境調査のやり直しを命じた。エーオンはMPXと手を組み将来性の高い南米市場の開拓に乗り出しており、今回の判決で出鼻をくじかれた格好だ。
\同発電所の建設予定地はチリ北部の小村カスティーリャ。MPXは2008年、同地に発電能力2,100メガワット(MW)の石炭発電所を建設する計画を打ち出したが、地域住民は環境破壊と健康被害をもたらすとして2010年に差し止め訴訟を起こした。
\エーオンはドイツ市場への依存度を引き下げる戦略の一環として今年4月にMPXと戦略提携。ブラジルとチリに計1万1,000MWの発電所を建設することで合意し、カスティーリャ石炭発電所計画にも参加した。同社はメディアの問い合わせに対し「判決文を吟味したうえで今後の対応を決定する」考えを表明した。MPXと進める他のプロジェクトについては計画通り推進するとしている。
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