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2012/9/5

ゲシェフトフューラーの豆知識

制服着用命令は雇用主の権限

この記事の要約

雇用主は従業員に対し制服の着用を義務づけることができるか――。この問題をめぐる係争でコトブス労働裁判所が3月に判決(訴訟番号:6 Ca 1554/11)を下したので、ここで取り上げてみる。\ 裁判を起こしたのは勤務先の家 […]

雇用主は従業員に対し制服の着用を義務づけることができるか――。この問題をめぐる係争でコトブス労働裁判所が3月に判決(訴訟番号:6 Ca 1554/11)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは勤務先の家具販売店から解雇通告を受けた社員。同社の経営陣は2011年9月から全従業員に制服着用を義務づけることを同年4月に決定した。制服の規定は黒のズボン(男性)/スカート(女性)、白のワイシャツ/ブラウス、黒系の靴、赤のネクタイ/スカーフというもので、ネクタイとスカーフは会社が支給。それ以外については一時金200ユーロを支給し、各人が調達するよう命じた。

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原告はこの命令に従わなかったため、同社は警告処分を2回実施。その後も命令を無視したため、12年3月末日付で解雇することを通告した。

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これに対し原告は、(1)労働契約には制服の着用を義務づける条項がない(2)会社が要求する衣類と靴の購入には350ユーロを要し、200ユーロでは足りない――など主張し、解雇無効の確認を求める裁判を起こした。

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第1審のコトブス労裁が下した判決は原告敗訴だった。判決理由で裁判官は、雇用主は被用者が勤務する場所や時間、労働内容を詳細に決定できるとした営業令(GewO)106条の規定を指摘。雇用主はこの規定を根拠に制服着用を命じることができると言い渡した。

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また、(2)の批判については、雇用主は制服購入費の負担を被用者に要求することはできないとの原則を指摘。そのうえで、200ユーロの一時金があれば雇用主が定めた衣類などを十分に購入できるとして、350ユーロが必要だとする原告の主張を退けた。

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