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2012/9/19

経済産業情報

裁ち切られると警報、盗難防止布地シート開発

この記事の要約

ナイフなどによって裁断されると検知して警報を発する布地シートを、フラウンホーファー信頼性・マイクロインテグレーション研究所(IZM)を中心とする産学共同研究チームが開発した。導電性のある糸を基布に張り巡らすというシンプル […]

ナイフなどによって裁断されると検知して警報を発する布地シートを、フラウンホーファー信頼性・マイクロインテグレーション研究所(IZM)を中心とする産学共同研究チームが開発した。導電性のある糸を基布に張り巡らすというシンプルな構造で、裁断された位置は監視コントローラーによって正確に特定できる。光ファイバーを使用する従来の方式に比べ製造コストを大幅に抑制できるうえ、大面積での使用も可能なため、トラックの幌など貨物車両での盗難防止で威力を発揮しそうだ(特許出願済み)。

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トラック輸送で用いられる幌は主にポリエステル製で、荷崩れ防止や雨よけなどが目的のため防水性や耐久性に優れているが、ナイフや刃物で簡単に切れるため、パーキングエリアなどで休憩・仮眠中に幌を切られて積荷を盗まれやすい。

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IZMとベルリン工科大学、繊維メーカーEttlin Spinnerei und Weberei Produktions GmbH(エトリンゲン)の3者はこれを踏まえ、裁断とその位置を正確に検知するとともに、簡単かつ低コストで製造できる布地の開発に取り組んだ。

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チームが今回開発した手法は、銀メッキを施した導電性糸をポリエステルの基布の上に格子状に張り巡らし低温ではんだ付けしたうえで、マイクロセンサーと回路をつなぐというもので、至って単純だ。銀メッキ糸は通常の工業規格品で、特殊な製法を必要としない。

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同布シートは機能性ばかりでなく、耐久性も高い。洗濯機で洗い(水温40度)、湿度85%・室温85度の環境に1,000時間さらし、マイナス40度から85度への冷却・加熱を1,000回繰り返したのちも、機能に全く影響なかったという。

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