独風力発電装置大手のEnerconが好調だ。政府補助金の削減や低価格を武器とするアジアメーカー台頭など業界を取り巻く環境は厳しさを増しているものの、2011年の国内市場シェア(設置能力ベース)は59.5%で断トツの1位を維持。世界市場シェアも7.9%で5位につける。競合の多くが赤字を計上するなか、同社は今年も黒字を維持する見通しだ。業界関係者は同社の12年売上高を40億ユーロと見込む。14日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙が報じた。
\ケットヴィヒ社長によると、同社の今日の成功の多くは創業者で発明家のアロイス・ヴォッベン氏に負うところが多い。同氏は1984年、たった1人で同社を設立した。業界内では「天才と狂人は紙一重」と呼ばれる人物で、旺盛な発明家精神によって様々な装置や技術を考案。風力発電関連技術の世界特許の40%は同氏の手によるものだ。
\競合Repowerのフリッツ・ファーレンホルト元社長は「彼がいなかったら今日の独風力エネルギー業界の姿はなかった」と明言する。ヴォッベン氏は健康上の理由で経営の第一線から退いているが、敵対的買収を防ぐために同氏の出資分を年内にも財団に移譲する計画という。
\成長を続けるための最大の経営理念は「無謀な冒険はしない」。リスクが大きい事業からは手を引き「身の丈に合った事業展開」を最重視する。シーメンスやGEなどの競合は洋上風力発電事業に注力しているものの、同社は「数十億ユーロ規模のプロジェクトはリスクが大きすぎる」として進出しない方針を固めた。社内協議で決断するまでの時間は「3カ月もかからなかった」という。
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