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2012/9/19

ゲシェフトフューラーの豆知識

解雇通知書には手書きのサインを忘れずに

この記事の要約

銀行の振込依頼書にサインを忘れると、数日後に振込人の住所に依頼書が郵送され、サインを記入したうえで再度、手続きを行うよう指示される。サインがないと依頼者本人が振り込みを依頼したかが定かでなく、銀行が手続きを進められないた […]

銀行の振込依頼書にサインを忘れると、数日後に振込人の住所に依頼書が郵送され、サインを記入したうえで再度、手続きを行うよう指示される。サインがないと依頼者本人が振り込みを依頼したかが定かでなく、銀行が手続きを進められないためだ。サインは本人確認の不可欠の手段であり、解雇通知書にも発行者のものが必ず明記されている。

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では、こうした性質を持つサインを手書きでなくパソコンで行った場合、解雇通知書は無効なのだろうか。この問題をめぐる係争で、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が2月に判決(訴訟番号:6 Sa 422/11)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは2010年11月18日に被告企業から即時解雇を通告された上級建設管理者。解雇通知書の署名がパソコンで書かれていたため、解雇の無効確認を求めて提訴した。

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第1審のノイミュンスター労働裁判所は原告勝訴を言い渡し、第2審のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は◇「電子的な形式」で行われた解雇通知書の署名を無効とする民法典(BGB)623条◇法律で書式が定められている場合、文書の発行者は署名を手書きで行わなければならないとするBGB126条1項◇法律で定められた形式が欠如している法律行為を無効としたBGB125条――を指摘した。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。

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