フィンランドの鉄鋼大手Outokumpu(エスポー)は1日、独Thyssenkruppのステンレス鋼子会社Inoxumを買収した場合はInoxumのイタリア子会社Acciai Speciali Terni(AST)を放出する意向を表明した。これまではスウェーデンのアーベスタ、ニービー、クロスター工場を売却することで欧州連合(EU)の欧州委員会からInoxum買収の承認を得る意向だったが、同委が難色を示したため、新たな譲歩案を提示した。
\Outokumpuは1月末、Inoxumを総額27億ユーロで買収することで合意。欧州委に対して4月に買収認可を申請していた。
\OutokumpuはInoxum統合により、年間売上高が40億ユーロから110億ユーロに拡大し、ステンレス鋼で14%の世界シェアを握る。欧州では最大のステンレス鋼メーカーとなる。
\欧州委は初期調査で、Outokumpuが買収により、欧州のステンレス製厚板、圧延平鋼市場でのシェアを大幅に拡大するほか、欧州の総合的なステンレス製圧延平鋼メーカーが3社に減ることを確認。買収が「深刻な」競争上の問題を引き起こす恐れがあるとして、5月に本格的調査の開始を決めた。
\Outokumpuはこれを受けて9月にスウェーデン3工場の売却方針を表明したが、欧州委は不十分だと指摘していた。
\ASTの鋳造能力は150万トンで、Inoxum全体の50%以上を占める。同社の製品はドイツにあるInoxumの川下工場で加工されているため、ASTの放出はOutokumpuにとって大きな痛手となる。同社のミカ・サイトビルタ社長はロイター通信に対し、買収のシナジー効果が年2億5,000万ユーロから2億ユーロに低下するとの見方を示した。
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