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2012/10/10

総合 - ドイツ経済ニュース

新車の割引販売が過去最高に

この記事の要約

ドイツの乗用車新車市場に陰りが出ている。9月の新車登録台数は前年同月比10.9%減の25万82台となり、3カ月連続で後退。メーカーは販促措置を活発化させている。販売減は主要モデルが末期を迎えているためだとの見方もあるが、 […]

ドイツの乗用車新車市場に陰りが出ている。9月の新車登録台数は前年同月比10.9%減の25万82台となり、3カ月連続で後退。メーカーは販促措置を活発化させている。販売減は主要モデルが末期を迎えているためだとの見方もあるが、それだけでは説明できない現象がある。デュースブルク大学自動車リサーチセンター(CAR)のフェルディナンド・ドゥーデンフェファー所長は、割引なしで新車を販売するのはほとんど不可能な状態だと指摘。「国内自動車市場に景気後退の波が押し寄せている」としている。

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新車の割引販売は過去最高の水準に達している。CARの調査をもとにドイツ各紙が報じたところによると、自動車メーカーが実施する販促措置の数は9月に435件となり、これまでで最高だった2011年11月(397件)を約10%上回った。割引指数も124となり記録を更新している。

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販売台数が最も多い30モデルの平均割引率をみると、直近のボトムである2011年5月は14.5%。その後は緩やかに上昇を続け、今年2月に前月比2.3ポイント増の18.2%へと急上昇した。その後も17%台後半から19%の高水準で推移している(下のグラフを参照)。

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割引率は特にモデルチェンジを間近に控える車両で高く、ホンダ「シビック」では30%に達した。メルセデスは旗艦モデル「Sクラス」(カタログ価格10万7,338ユーロ)の個人向けリース販売で2万6,933ユーロの割引を実施している。(次ページの表を参照)

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ただ、新モデルでも大幅な割引が行われているケースもある。11月10日発売予定のフォルクスワーゲン「ゴルフ7」はネット販売市場で一部のモデルの価格がカタログ価格を最大20%下回っている。

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販売促進に向けて特典を付けるメーカーもある。起亜は車両点検サービス券と250ユーロ相当の給油券を提供。メルセデスは9月に限り下取り価格を3,000ユーロ引き上げた。スズキも「アルト」の限定モデルを対象にカーエアコンとカーオーディオのセット価格を2,000ユーロ引き下げている。

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販売実績を見かけのうえで押し上げるために買い手が未定の車両を陸運局に登録する措置(いわゆるTageszulassung)も活発で、新車登録の28%を占める。この手法を最も積極的に活用しているのは現代自動車で、7~9月は同比率が44%(1万850台)に達した。

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