カーボン製品大手の独SGL(ヴィースバーデン)が中国に黒鉛電極工場を建設する計画だ。現地メーカーに資本参加する予定で、年内にも成約する見通し。同社のロベルト・ケーラー社長が『ハンデルスブラット』紙に明らかにした。
\黒鉛電極は金属の製・精錬に用いる電極。アジアでは鉄鋼などの需要が長期的に拡大する見通しで、同社は9月、マレーシアのバンティング(クアラルンプール近郊)に投資総額2億ユーロの工場を開設した。東南アジアから韓国までの幅広い地域に供給している。販売が好調なため、同社は中国生産にも乗り出す。同国への工場進出により「地図上の最後の空白が消える」(ケーラー社長)という。
\アジア事業を強化するのは欧州市場低迷の影響を相殺するほか、収益力の高い黒鉛電極事業の強化を通して炭素繊維事業の資金をねん出するためだ。炭素繊維は将来性が高いものの、現時点では利益を計上する事業に育っていないという事情が背景にある。同社長は炭素繊維市場のすそ野が拡大するには今後さらに5年を要するとの見方を示した。
\SGLは炭素繊維(CFC)部門の経営資源を素材分野に集約する方針で、この基準に合わない風力発電用ブレード子会社Rotecと航空機部品子会社Hitcoは投資家を模索して合弁化する意向だ。
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