ブルートゥースや無線LANをはるかに上回る高速無線通信を実現する近距離無線通信用モジュールを、フラウンホーファー光学マイクロシステム研究所(IPMS)が開発した。テレビリモコンやスマートフォン同士のデータ交換などで使われている赤外線を伝送媒体に用いることがポイント。デジカメやカムコーダーに組み込むことで、撮影した写真や動画を撮ったその場で他人のパソコンに伝送できるようになるなど、データ送信の利便性が大幅に高まりそうだ。
\ブルートゥースや無線LANによる近距離無線通信は広く普及しているが、例えば結婚式の招待客が持参した高精細カムコーダーで撮影した式の様子などはデータが重く、無線で自分のパソコンに転送するには何分もの時間がかかる。撮影者が会場にデータケーブルを持参することはまずないため、他人に渡す場合は撮影者が自宅に戻ってからデータをDVDなどに焼きつけるのがほとんどだ。動画データを実際に受け取れるまでに何日もかかるなど、大容量データのやり取りは面倒が伴う。
\IPMSが今回開発した赤外線高速通信モジュールの通信速度は1ギガビット/秒で、ブルートゥースに比べ1,000倍以上、USB2.0データケーブル(有線)と比べても2倍以上早い。
\開発に際して特に難しかったのは、システムの小型化と同時にデータ処理速度を引き上げることだったという。また、撮影機器のほとんどがバッテリー駆動という実際の使用環境に配慮し、データ処理プロセスをできる限り簡素化して消費電力を抑える技術や、端末同士の距離が離れることで生じるデータエラーの修正システム開発でも試行錯誤の連続だったという。
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