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2012/10/10

経済産業情報

テレコム、超高速通信網から競合締め出し?

この記事の要約

ドイツテレコムは保有する超高速通信(VDSL)網の競合への開放を制限することを計画している。同社は「ベクタリング」と呼ばれる次世代超高速通信技術の導入に意欲をみせるが、同技術はVDSL網の特定のポイントに複数の通信事業者 […]

ドイツテレコムは保有する超高速通信(VDSL)網の競合への開放を制限することを計画している。同社は「ベクタリング」と呼ばれる次世代超高速通信技術の導入に意欲をみせるが、同技術はVDSL網の特定のポイントに複数の通信事業者がアクセスしていると機能しないという技術的制約がある。同社はDSL回線による代替アクセス手段を競合に提供する代わりにVDSL回線を事実上、独占する考えだ。10日付『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が報じた。

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ベクタリング(商品名:VDSL2 Vectoring)は通信機器大手アルカテル・ルーセントが開発した次世代超高速通信技術で、既存のメタル回線(銅線)を使用したままで、自宅まで直接光ケーブルを引き込んだ場合に匹敵する50~100メガビット/秒の通信速度を実現する。ドイツテレコムは低価格で超高速通信サービスを提供するケーブルTV会社との競争で苦戦を強いられており、通信速度の引き上げを通してサービスの質を改善し、顧客獲得につなげたい考えだ。

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ベクタリング装置は光ファイバーと銅線の切り替えポイント(クロスコネクト)に設置される。

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また、クロスコネクトにつながっている全ての銅線は単一の通信事業者が管理する必要がある。その一方で、クロスコネクトには自前で光ケーブルを敷設しローカルループだけを借り受ける競合もアクセスしている。ドイツテレコムは競合へのローカルループ開放を義務づけられており、現行の市場規制下では競合を締め出すことはできない。

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こうした事情を踏まえ、ドイツテレコムは競合へのクロスコネクト開放を制限する方向でネットワーク管理当局に打診を始めたもようで、競合は警戒感を強めている。

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