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2012/10/10

ゲシェフトフューラーの豆知識

有期雇用契約の法解釈を最高裁が提示

この記事の要約

雇用主と被雇用者が結ぶ有期雇用契約は正当な理由がない限り契約期間が計2年、更新回数も最大3回に制限される。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」14条2項第1文に明記されたルールである。ただし、同 […]

雇用主と被雇用者が結ぶ有期雇用契約は正当な理由がない限り契約期間が計2年、更新回数も最大3回に制限される。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」14条2項第1文に明記されたルールである。ただし、同項第3文には雇用者団体と労働組合が協定を結ぶ場合は第1文の制限が適用されないことが明記されている。

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最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は同第3文の法解釈を8月15日の判決(訴訟番号: 7 AZR 184/11)で提示した。

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裁判を起こしたのは2006年4月3日から09年10月2日までの3年半、警備会社に運転手として勤務していた元契約社員。労働契約には有期雇用契約に関する業界の労使協定を適用する旨が明記されていた。同協定では合計の契約期間を最大42カ月(3年半)、更新回数を最大4回とすることが取り決められている。

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原告の元社員はこの協定がTzBfG14条2項第3文に抵触すると主張。同協定に基づき3年半の有期契約を強いられたのは違法だとして提訴した。

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TzBfG14条2項第3文の文面は「契約更新の回数もしくは(oder)有期契約の最大の(合計)期間は労使協定を通して(同項)第1文の規定とは異なる形で定めることができる」(下線とカッコは筆者)となっている。原告はこれを根拠に、TzBfG14条2項第1文に定める規定(合計の契約期間が最大2年、更新回数が最大3回)を超える取り決めを労使協定で行う場合、超過が認められるのは契約期間か更新回数のどちらかだと主張。契約期間と更新回数の両方で超過している労使協定の規定は無効だと訴えた。

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第1審と第2審は原告の訴えを棄却、最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、労使協定では契約期間と更新回数をともにTzBfG14条2項第1文の規定とは異なる形で定めることができるとの解釈を提示した。

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