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2012/10/17

総合 - ドイツ経済ニュース

独GDP見通しを下方修正=秋季予測

この記事の要約

Ifoなど国内外の主要経済研究所は11日発表した共同作成の『秋季経済予測』で、ドイツの実質国内総生産(GDP)成長率見通しを下方修正した。欧州債務危機と世界経済減速の影響が実体経済に及んでいることを踏まえたもので、今年に […]

Ifoなど国内外の主要経済研究所は11日発表した共同作成の『秋季経済予測』で、ドイツの実質国内総生産(GDP)成長率見通しを下方修正した。欧州債務危機と世界経済減速の影響が実体経済に及んでいることを踏まえたもので、今年については春季予測の0.9%から0.8%、来年についても同2.0%から1.0%に引き下げた。欧州中央銀行(ECB)が9月に打ち出した重債務国の国債買い入れプログラム(OMT)に対してはインフレリスクを高めると批判している。

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主要経済研究所は欧州債務危機対策がユーロに対する投資家や企業、消費者の信用回復につながるとの前提で秋季予測を作成した。それによると、ユーロ圏の実質GDPは今年、前年比で0.5%縮小するものの、来年は0.1%ながらプラス成長に好転。経済が減速している新興国も来年は中国を中心にやや加速し、世界の経済成長率は今年の2.3%から2.5%に上昇する見通しだ。

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ドイツ経済は現在、欧州債務危機と世界経済の先行き懸念の影響が鮮明に出ており、Ifo企業景況感の期待指数(今後6カ月の事業見通しを示す)は4月から6カ月連続で悪化した。投資を見合わせる企業は多く、今年は設備投資が2.7%、建設投資も0.2%後退する(下の表を参照)。

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そうしたなかで輸出は底堅く推移しており、今年は3.7%増加する。ユーロ相場の下落を受けてドイツ製品の価格競争力が高まっていることが背景にある。

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2010年から続いた雇用情勢の改善はひとまずピークに達する。ただ、失業者が大幅に増える可能性が低いうえ、賃金上昇率もインフレ率を上回っていることから、個人消費は拡大を続ける。また、歴史的な低金利を背景に住宅需要も堅調に推移する見通しだ。

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インフレ率は今年2.0%となり、昨年の2.3%からやや低下する。景気減速にも関わらず低下幅が小さいのは原油価格が上昇しているためで、来年は2.1%へと上がる。

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欧州債務危機が悪化する可能性は小さくないというのが秋季予測の見方で、その場合はドイツが景気後退入りする恐れがあるという。

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「OMTはインフレ期待高める」

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ギリシャやスペインなどの財政を立て直す方法については財政再建と構造改革が基本だとの見方を示した。ただ、秋季予測はこれらの措置だけでは危機からの脱却につながらない公算が高まっているとも指摘。公的債務の削減をもたらす補完的な措置として(1)他のユーロ加盟国からのトランスファーを利用する(2)デフォルトないし債務整理を行う(3)インフレ政策を通して債務の実質的な負担を軽減する――の3つを挙げた。このうち(1)についてはフィンランドやドイツなど資金を提供する側の国で拒否的な意見が強まっており、可能性が低いと指摘。(2)についても、最も好ましい手段だとしながらも、欧州連合(EU)レベルで明確に退けられているため、実現の可能性がないとの見方を示した。

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インフレ政策については欧州とドイツ経済に禍根を残すとの立場をとっており、ECBのOMTプログラムに強い懸念を表明した。市場参加者や消費者のインフレ期待を高め、物価を安定させるという中銀の最重要課題を果たせなくなるとしている。

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また、これとは別に、ECBの金融緩和政策が続くと、ドイツで不動産バブルが発生する可能性があるとの見方も示した。

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