シリコン・サクソニー(独・ドレスデン)など欧州4カ国の有力な半導体産業ネットワーク(クラスター)は9日、ドレスデンで欧州半導体産業アライアンス「Silicon Europe」を発足させた。同アライアンスに結集する企業・研究所は独インフィニオン、蘭フィリップス、NXPなど計800機関で欧州最大。就業者数は同15万人を超える。欧州半導体産業の利益を代表してロビー活動を行うとともに、共同研究・開発プロジェクトなどを通して欧州産業の発展を推進し、米国やアジアの競合に対抗していく。
\Silicon Europeに参加する産業クラスターはシリコン・サクソニーとMinalogic(仏グルノーブル)、Point One(蘭アイントホーフェン)、DSP Valley(ベルギー・ルーヴェン)の4つ。
\欧州レベルの半導体アライアンス結成の背景にあるのは、米インテル、台湾TSMCなどの競合が450ミリメートルウエハーを使った半導体製造(いわゆる「大口径化」)と次世代露光装置(極紫外線露光)への移行を推し進めていることだ。新技術の導入には100億ドル規模の莫大な投資が必要となるが、企業が自前で資金を賄うことはできない。EU域外の競合が各国政府の優遇措置を受けて着々と準備を進める一方、欧州企業が資金不足を理由に手をこまねいていれば、大きく後れを取ることになる。欧州半導体産業の世界シェアは2000年の21%から16%へと落ち込んでおり、このままでは欧州産業が衰退の一途をたどるとの不安が業界内には強い。
\Silicon Europeはこうした事情を踏まえ、欧州連合(EU)の欧州委員会に強く働きかけて半導体産業支援に向けた補助金の獲得に力を入れる。EUが厳しく制限する公的補助についても、実際の競合が域外のメーカーということを根拠に規制緩和を求めていく方針だ。ドイツ政府が主催するITサミットに倣って欧州ICTサミットを開催し、政治とのパイプを構築することも視野に入れている。
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