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2012/10/17

経済産業情報

レーザー光で高強度鋼をピンポイント熱処理

この記事の要約

高強度・高靭性を持つ鉄鋼であるマルテンサイト鋼の一部分だけをピンポイントで軟化する技術を、フラウンホーファー・レーザー技術研究所(ILT、アーヘン)を中心とする産学協同研究チーム「LOKWAB」が開発した。四角形状にレー […]

高強度・高靭性を持つ鉄鋼であるマルテンサイト鋼の一部分だけをピンポイントで軟化する技術を、フラウンホーファー・レーザー技術研究所(ILT、アーヘン)を中心とする産学協同研究チーム「LOKWAB」が開発した。四角形状にレーザー光を照射して加熱し、面積や温度などを制御しながら焼きなまし、深絞りなどの加工を行うのがポイントで、1枚の鋼板から部位毎に強度の異なる構造部材を成形できる。

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部位毎に強度を変える鋼板技術として良く知られているのはテーラード・ブランク(TWB)だ。TWBは板厚や強度の異なる鋼板を溶接後、プレス成形して1枚にまとめる手法で、素材の最適配置によって車体の軽量化と車体剛性向上を両立できる。

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ILTなどの産学チームが開発した新技術は、「1枚の高強度板を部位ごとに軟化させることで硬質部と軟質部が共存する鋼板を作る」というアプローチで、TWPとは発想が大きく異なる。

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チームは今回、プロジェクトのパートナーであるティッセンクルップのマルテンサイト鋼「MS-W1200」をベースにレーザー熱処理加工を行い、自動車のBピラーを作成。同じ板厚の複合ハイテンション材「CP-W800」で作成したものとクラッシュテストで比較したところ、品質が大きく優れていることが確認できたという。

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LOKWABは研究の成果を、ハノーバーで10月23~27日開催される板金加工国際見本市「EuroBlech」で紹介する。

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LOKWABは連邦教育研究省(BMBF)の支援を受けて実施された産学協同プロジェクト。ILT、ティッセンクルップのほか、アウディ、BMW、ダイムラーなどの自動車メーカー、フラウンホーファー工作機械プレス技術研究所(IWU)などが参加した。

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