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2012/10/24

企業情報

Wilex AG―腎臓がん治療薬の市場投入断念―

この記事の要約

独バイオ企業Wilex(ミュンヘン)は16日、腎臓がん治療薬「Rencarex」の市場投入を断念すると発表した。臨床試験の最終段階であるフェーズ3で、偽薬(プラセボ)を上回る薬効が確認されなかったためで、今後は腎臓がん診 […]

独バイオ企業Wilex(ミュンヘン)は16日、腎臓がん治療薬「Rencarex」の市場投入を断念すると発表した。臨床試験の最終段階であるフェーズ3で、偽薬(プラセボ)を上回る薬効が確認されなかったためで、今後は腎臓がん診断薬「Redectane」の開発に経営資源を集中する意向だ。

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Rencarexは抗体を主成分とする医薬品で、同社は10年以上前に臨床試験を開始。昨年11月の時点では独立データ・モニタリング委員会(IDMC)から「中間解析を行わずただちに最終解析に入るよう」勧告を受けており、オラフ・ヴィルヘルム社長は2013年上半期には販売認可申請にこぎつけられるとの見通しを示していた。

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Wilexは1997年の設立で、これまでに約1億9,000万ユーロの資本を調達した。現在手元に残るのは2,800万ユーロにとどまっており、同社は経営資源の絞り込みを余儀なくされた格好だ。腎臓がん診断薬Redectaneは現在、フェーズ3の段階に達している。

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Wilexにはソフト大手SAPの創業者であるディートマール・ホップ氏が50%以上を出資している。同氏はドイツのバイオ企業にこれまで計8億ユーロを投資したものの、他のバイオ企業2社(Agennix、Sygnis)でも最近、医薬品の開発が相次いで失敗。大きな痛手を受けている。

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