オーストリアのバイオ企業Intercell(ウィーン)は15日、2012年通期の業績見通しを引き下げると発表した。唯一の製品である日本脳炎予防ワクチンの需要が伸び悩んでいるためで、増収幅を従来予測の「800~1,000万ユーロ」から「500~700万ユーロ」に下方修正。最終赤字についても「1,500万~2,000万ユーロ」から「2,000万~2,400万ユーロ」に変更した。
\Intercellはウィーンの分子病理学研究所からのスピンオフとして1998年に設立されたバイオ企業で、2005年に株式公開を果たした。09年から3期連続で赤字を計上しており、08年に一時30ユーロを超えていた株価は現在2ユーロ前後と10分の1以下に下落。市場には同社の大株主であるNovartisが買収に動くとの憶測が数年前からあるものの、「買収にはもはや関心を持っていない」(市場関係者)との見方も出ている。
\墺Raiffeisenのアナリストは、Intercellの将来は同社が開発中の緑膿菌感染予防ワクチンの成否にかかっていると指摘する。緑膿菌は院内感染の主要細菌で、予防ワクチンを上市できれば莫大な売り上げが期待できる。
\同ワクチンは現在、臨床試験最終段階のフェーズ3に達しており、順調に行けば来年下半期にも新薬承認申請に必要なデータが出そろう見通し。臨床試験で良好な治験結果が得られなかった場合、存続の危機にさらされる恐れがある。
\