ロシアの輸入関税の高さに悲鳴を上げた高級車メーカーの独BMWが、型破りな対策に乗り出した。米スパータンバーグ工場で製造する「X5」(オフロード車)や「X6」(SUV)などの大型モデルを完成車の状態でドイツ(ブレーマーハーフェン港)に輸入したうえで個々の部品に解体、これをカリーニングラード工場に輸送して改めて完成車に組み立て直す。完成までにかかる時間が通常の3倍というデメリットを差し引いても、完成車をロシア市場に持ち込むよりコストは安いという。24日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙が報じた。
\ロシアやインド、アルゼンチンなどの新興国は、自国産業を保護するために国外製品に高い輸入関税を課すことが多い。ロシアは8月、世界貿易機関(WTO)に正式加盟したものの、自動車の輸入関税は加盟前の30%から25%に引き下げたに過ぎない(7年かけて段階的に15%まで引き下げる計画)。ロシア政府は現地生産台数など一定の基準を満たすことを条件に、外国企業に部品輸入関税の減免措置を適用しているため、国外メーカーの多くは部品を輸入し現地工場で組み立てるノックダウン(KD)方式を採用している。
\FTD紙によると、完成車を一度ばらして部品にするという回り道をBMWがとる理由は、KD生産に対応する物流システムがスパータンバーグ工場で整っていないため。同社の広報担当者は、「あくまでも一時的な措置」として、解決に向けた取り組みを進めていることを示唆した。
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