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2012/11/7

総合 - ドイツ経済ニュース

キャピタルゲイン税での外資差別廃止へ、法案を閣議了承

この記事の要約

ドイツ政府は10月31日の閣議で、企業税改革法の改正案を了承した。配当収入への課税で外資を国内企業よりも不利に取り扱うルールの廃止が柱。今後、連邦議会(下院)と州の代表で構成される連邦参議院(上院)で審議される。連邦参議 […]

ドイツ政府は10月31日の閣議で、企業税改革法の改正案を了承した。配当収入への課税で外資を国内企業よりも不利に取り扱うルールの廃止が柱。今後、連邦議会(下院)と州の代表で構成される連邦参議院(上院)で審議される。連邦参議院で過半数票を握る野党は政府法案を強く批判しており、議会審議は難航が予想される。

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ドイツでは他社への出資比率が10%未満の株式会社と有限会社が配当を受け取る場合、キャピタルゲイン税が課される。国内企業は同税を法人税と相殺できるのに対し、外資はできないため、欧州連合(EU)の欧州委員会は2009年7月、EU域内における資本移動の自由を定めたルールに反するとして欧州司法裁判所(ECJ)に提訴。ECJは11年10月20日、欧州委の訴えを認める判決を下した(訴訟番号:C-284/09)。

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ドイツ政府の法改正案はこれを受けて作成されたもので、キャピタルゲイン税を法人税と相殺するルールを外資にも適用することが盛り込まれている。法案が施行されると、外資はこれまで支払ってきたキャピタルゲイン税の還付を請求できる。このため、13年と14年の税収はそれぞれ14億9,500万ユーロ、15億3,500万ユーロ減少する見通し。15年以降も年6億ユーロ目減りが予想されている。

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同法案に対し野党は、大企業を優遇する措置だと批判。法改正は国内企業に認めてきたキャピタルゲイン税と法人税の相殺ルールを廃止する方向で行うべきだと主張し、連邦参議院で政府法案を阻止する構えを見せている。

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これに対し経済界は、企業が受け取る配当収入には法人税を通してすでに課税がなされていると指摘。キャピタルゲイン税と法人税の相殺ルール全廃は二重課税の強化につながるとして、政府法案に支持を表明している。

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