計画実施が大幅に遅れているエルベ川浚渫(しゅんせつ)事業に新たな困難が立ちはだかっている。連邦行政裁判所(BVerwG)は環境団体の訴えを受けて10月に工事差し止めの仮処分を命令。最終決定の時期は「全く未定」としており、プロジェクトがさらに数年遅れるのは避けられない情勢だ。ハンブルク港企業連盟(UVHH)は30日、「このままでは競合するロッテルダムやヴィルヘルムスハーフェン港に顧客を奪われる恐れがある」と強い懸念を示した。
\工事差し止めの仮処分を申請したのは環境自然保護団体のNABUとBUND。両団体は、ウンターエルベ(潮汐の影響を受け水位が変動するゲーストアハト~ククスハーフェンの区域)とアウセンエルベ(ククスハーフェンより外側の河口域)の水深を14.5メートルまで掘り下げる工事に伴い同水域の船舶通航域を変更・調整するとした当局の決定に対し、水域・地域・動植物保護に関する規定に違反するとして、異議を申し立てた。
\BVerwGの裁判官は「公共の利益と野生動植物の保護という2つの観点を秤にかけた」うえで、工事の一時的な差し止めを決めた説明。今回の判断は最終的な判断とは無関係としている。
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