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2012/11/14

経済産業情報

廃家電回収で自治体とメーカー・販売店が火花

この記事の要約

家電メーカーや販売店の間に廃家電を回収する動きが広がっている。背景にあるのは欧州連合(EU)で8月に発効した「使用済み電子・電気製品に関する指令(WEEE指令)」の新ルールだ。新規制では販売量に比例して回収量が増える方式 […]

家電メーカーや販売店の間に廃家電を回収する動きが広がっている。背景にあるのは欧州連合(EU)で8月に発効した「使用済み電子・電気製品に関する指令(WEEE指令)」の新ルールだ。新規制では販売量に比例して回収量が増える方式に改められたうえ、回収がメーカーだけでなく販売業者にも義務づけられるためで、メーカーや販売店は、通常は自治体の回収所に出される家電ゴミの獲得に向けて下取りキャンペーン、無料回収サービスなどを打ち出している。『ハンデルスブラット』紙が報じた。

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EU内の製造業者はこれまで、EU市民1人当たり年4キログラムの廃家電回収・リサイクルを義務づけられていた。WEEEの新指令では2016年以降、国内で販売された電子・電気製品の総重量の45%を回収しなければならない。さらに販売業者も規制の対象となり、売り場面積が400平方メートルを超える家電量販店などは小型電子機器の回収義務を負うようになる。

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廃家電の大半は現在、自治体の回収所に持ち込まれているが、自治体は回収した廃家電の量を記録する義務がないうえ、価値の高い貴金属を多く含むパソコンなどをより分けてリサイクル処理することが認められている。廃家電登録機構(EAR)の統計によると、自治体が2011年に処理した大型家電は廃棄量全体の86.6%に上り、資源リサイクルによって自治体が得た収入はトン当たり110ユーロに上ったという。

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メーカーや販売店は、自治体がそうした「金になる」ゴミを自らのために使い、処理コストがかさみ資源性に乏しいゴミを押しつけてくる可能性があると強い警戒感を示す。

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自治体の独占に対抗するため、家電量販大手のメディアマルクトはメーカーと協力して、冷蔵庫や洗濯機、コーヒーメーカーを購入し古い機器を下取りに出した顧客に最大150ユーロをキャッシュバックするキャンペーンを実施。ドイツテレコムはiPhone4Sなどのスマートフォンを購入すると同時に古い携帯端末を持ち込んだ顧客に「リサイクルボーナス」として100ユーロをプレゼントするサービスを行った。

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