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2012/11/28

経済産業情報

独企業、クラウド導入に消極的 セキュリティ面での不安が足かせに

この記事の要約

ドイツの民間企業はクラウドコンピューティングの利用に慎重なようだ。独情報通信業界連盟(Bitkom)によると、2012年の国内クラウドサービス市場規模は初めて50億ユーロの大台に達し、今後数年間も2ケタ台の成長が続くもの […]

ドイツの民間企業はクラウドコンピューティングの利用に慎重なようだ。独情報通信業界連盟(Bitkom)によると、2012年の国内クラウドサービス市場規模は初めて50億ユーロの大台に達し、今後数年間も2ケタ台の成長が続くものの、クラウドを導入している独企業は現時点で4社に1社にとどまる。コスト削減や社内ITシステム柔軟化などのメリットは認識していながらも、情報漏えいなどセキュリティ面で不安を感じる企業が多いことが足かせとなっているようだ。20日付『ハンデルスブラット』紙が報じた。

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バイエルン州憲法裁判所のディルク・ヘックマン裁判官(パッサウ大学教授)によると、クラウドサービスを提供する企業に管理を任せきりにすることは危険で、サービス提供者との間では、◇トラブルの際の賠償義務の所在◇クラウドに預けたデータの返却方法やそのフォーマット、返却後のデータ消去に関する規定◇サーバーの設置場所(係争の際にどの国の法律が適用されるか)――などの点を明確に取り決めておく必要がある。特にサーバーが欧州連合(EU)域外にある場合は、EUよりデータ保護に関する規定が緩いことが多いため注意が必要だ。契約書の内容は複雑なため、IT法に詳しい専門の法律事務所に書類作成を依頼することが望ましいという。

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ただ、そうしたリスクを適切に管理できれば、クラウドコンピューティングのメリットは大きい。ヘックマン教授は「社内に設置した老朽サーバーを使い続けるより、社外のクラウドサーバーの方が安全、低コストかつ高効率なこともあるとして、過剰な不安を抱かないよう忠言している。

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