移動スーパー事業を手がけるHeiko rollende Lebensmittelmaerkte(ラインラント・プファルツ州ノイエンドルフ、以下Heiko)が巡回販売のエリアを従来の営業基盤である交通不便地域から大都市圏へと拡大している。スーパーの大型化・郊外化にともない地元の商店が閉店・撤退を余儀なくされた結果、歩いて行ける範囲で日用品を購入できる店がほとんどない地区が出てきたためだ。同社の売上高シェアの1割は大都市圏(ケルン、ボン、トリーア、コブレンツ)での販売によるものという。26日付『フランクフルター・アルゲマイネ』が報じた。
\Heikoは1950年、養鶏業者として設立された。当時は周辺の村々で卵と鶏肉製品を移動販売するだけだったが、1970年代に入り地元の商店が不採算で閉店に追い込まれるケースが増えてきたことを受けて、取扱品目を食料品全般に拡大した。
\創業者が1999年に死亡した後は、娘婿で製薬会社のマーケティング部長だったラインハルト・シュタインカンプ氏(現社長)が事業を継承した。翌年に生鮮品サービスのMilch Union Hocheifelを買収。2002年にはルクセンブルク、03年にもベルギー市場にも参入するなど、着実に足場を広げてきた。現在は68台の移動販売車が2,200カ所の村と都市を巡回する。
\取扱品目は生鮮品、冷凍食品も含め250~400種類。価格はスーパーマーケット並みで、商品の3分の2は同社の地元であるアイフェル山地の農産品が占める。顧客の大半は買い物が困難な高齢者で、足腰が弱って歩くのが辛い人のためには、販売員が商品を詰めて自宅まで届けることもある。
\シュタインカンプ社長によると、都市からの引き合いはここ2~3年で急速に増加した。照会元のほとんどは、「買い物難民」の問題に取り組む自治体の都市開発や高齢者見守りネットワークの担当者という。
\都市部での巡回販売は事業としてのポテンシャルが高いものの、◇移動販売車の駐車場確保が困難◇農村部を巡回するよりコストが割高になるにもかかわらず、一定数の顧客が確実に見込めるかの見極めが難しい――などの問題があり、サービス提供の決定は慎重に行う。
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