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2012/12/12

経済産業情報

カーエアコン新冷媒問題、陸運局が腰上げる

この記事の要約

カーエアコン用の新規冷媒として2013年までに導入が義務づけられている「R1234YF」の安全性をめぐる議論が高まるなか、これまで様子見を続けてきた独連邦陸運局(KBA)がようやく重い腰を上げたもようだ。KBAはこのほど […]

カーエアコン用の新規冷媒として2013年までに導入が義務づけられている「R1234YF」の安全性をめぐる議論が高まるなか、これまで様子見を続けてきた独連邦陸運局(KBA)がようやく重い腰を上げたもようだ。KBAはこのほど、R1234YFを採用した自動車メーカーに質問状を送付した。今後は回答内容を参照したうえで「必要な措置を講じる」方針だ。5日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙などが報じた。

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自動車大手のダイムラーは9月、事故の衝撃で引火する危険性が確認されたとして、R1234YFの採用中止の方針を表明。自動車誌『Autobild』によると、同冷媒を搭載した新型SLクラスの国内販売分(705台)を全てリコールし、従来の冷媒(R134a)に交換した。

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一方、欧州連合(EU)は地球温暖化防止の観点から、13年までに新規冷媒を導入する姿勢を崩していない。欧州委員会の関係者は10月、米カーエアコン冷媒メーカー団体MACSに宛てた書簡に「2012年12月31日以降、新冷媒を採用していない新車がEU域内で販売されることは認められない」と明記した。冷媒工場の完成遅延に伴うR1234YFの需給ひっ迫問題はすでに解消され「導入を先延ばしする理由はもはやない」としており、現状ではダイムラーがEU法に抵触することは避けられない見通しだ。独野党の社会民主党(SPD)はラムザウアー連邦交通相に対し欧州委に圧力をかけるよう要求しているものの、同省は「安全か危険かが解明されておらず、次期尚早」として見合わせている。

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こうした事情を受け、KBAは11月下旬、R1234YF採用モデルを国内で販売した起亜、現代自動車、スバル、トヨタ/レクサス、マツダの5社に対し、現在も同冷媒を搭載し続けているかなどを確認する質問状を送付した。自動車業界サイトauto.deによると、現代自、起亜、マツダはR1234YFの使用を中止し、R134に切り替えたとしており、メーカー側の回答次第では新冷媒導入のさらなる猶予を求める可能性がある。

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