リチウムイオン電池をしのぐ次世代の高容量二次電池として注目されている金属-空気電池で、電解液材料にナトリウムを用いる技術をギーセン大学、カールスルーエ工科大学、化学大手BASFの産学共同研究チームが開発した。金属-空気電池の負極材料としてはリチウムが最有力視されているなか、安価でありふれた元素であるナトリウムを使用することで低コスト化が期待できる。
\金属-空気電池は負極に金属、正極に空気(酸素)を使う電池。電池内の大半を負極にできるうえ、反応に必要な酸素を大気中から供給できるため、他の電池を遥かにしのぐエネルギー密度を有している。負極材では第1族元素(アルカリ金属)のリチウムが最有力視されており、実用化に向け世界の研究機関がしのぎを削っている。ただ、リチウムを使用した場合、化学的な安定性、耐久性が低いほか、◇サイクル寿命が短い◇電池内部で生じる電圧降下が大きい――などの問題がある。また、リチウム資源の埋蔵量は偏在しており、需要が高まれば将来、安定供給できなくなるおそれがある。
\ギーセン大学などの研究チームはこうした事情を踏まえ、リチウムと同じアルカリ金属であるナトリウムに注目した。ナトリウム蓄電池は従来、高温の動作温度が必要とされていたが、近年の研究によって室温動作に成功したことでリチウムに代わる電極材としての利用に道が開けた。
\研究チームが作成した試作品では、エネルギー密度(理論値)は1,600Wh/kgとリチウム空気電池の半分程度に過ぎなかったものの、充電効率は85~90%、過電圧は200ミリボルト以下だった。
\研究成果は『Nature Materials』に掲載された。
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