ガスパイプライン運営大手オープングリッド・ヨーロッパ(OGE)のシュテファン・カンプフース社長は6日の記者会見で、欧州が寒波に見舞われた場合、今年2月に起こったような天然ガス供給不足が今冬も発生する恐れがあると指摘した。最大のカギを握るのは天然ガスの最大の輸出国であるロシア。同国が昨冬同様に自国の需要を優先し欧州向け供給量を削減すれば、ガス発電所などの大口需要家は最悪の場合、一時的な稼働停止に追い込まれかねないという。7日付『ヴェルト』紙が報じた。
\ロシア国営ガスプロムは今年2月、東欧を中心に厳しい寒波の影響が広がったことを受け、数日間にわたって欧州向けの供給量を10%程度削減。ドイツではこの影響で、南部ドイツのガス発電所が深刻な供給不足に陥った。北ドイツやオランダにはガス備蓄設備があるものの、パイプラインの輸送能力不足で南部ドイツに供給できず「大規模停電寸前」に追い込まれた。OGEのカンプフース社長によると、最悪の事態を免れたのは、危機の最中の8日にエネルギー供給関連の見本市があり、たまたま顔を合わせた関係者が“その場で”対策を講じられたためという。
\OGEは2月の事態を受け、計140キロメートルのガスパイプラインを新設するなど南北ドイツ間の輸送能力を強化した。ただ、民間企業の努力だけでは限界があるとして、政府にも対応を求めている。
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