中国に工場を持つ企業の間に生産過程を機械化・自動化する動きが強まってきた。人件費の上昇と生活水準向上による需要増を受けて従来の労働集約型の生産方式ではコスト的・効率的に見合わなくなっているためで、すそ野は中規模メーカーにも広がっている。水洗金具メーカーHansgroheのジークフリート・ゲンスレン社長は『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版)』紙に対し、「現地では機械化への圧力が高まる一方だ」と述べ、年500万ユーロを投資して同社の上海工場の機械化を急ぐ方針を示した。
\中国の生産拠点に多額の投資を行い欧州並みの機械化・自動化を推し進めてきたのはこれまで、資本投下に見合う生産規模を持つ自動車などの大手メーカーに限られていた。中規模のメーカーでは◇生産規模が小さい◇現地で生産するのは比較的単純な製品に限られている――ため、機械化のメリットは薄かった。しかし、人件費の上昇に加え出稼ぎ労働者の減少が見込まれるなど「豊富で安価な労働力」の時代は終わりを告げつつあり、人手への依存を減らすことは緊急の課題となっている。
\Hansgroheの上海工場の従業員は計400人で、派遣社員が大半を占める。同社は作業工程の機械化に合わせ、従業員の教育を進めているという。ただ、現地工場では比較的単純なロボットの導入にとどめ、高い技術が必要な分野についてはこれまで通り欧州工場で生産。中国には移管しない。
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