海運業界が深刻な危機に直面している。独海運事業者連盟(VDR)のミヒャエル・ベーレント会長は7日の年次記者会見で、先の金融・経済危機から4年に及ぶ海運不況でドイツの海運事業者は壊滅的な打撃を受けていると指摘。特にチャーター輸送業界は極めて厳しい状況にあり、「2013年には多くの企業が倒産に追い込まれる恐れがある」と述べ警鐘を鳴らした。
\海運不況の背景にあるのは供給過剰だ。海運事業者の多くは08年の金融・経済危機以前に新コンテナを相次いで発注。その後の輸送需要減で稼働率が大きく落ち込んだものの、景気回復による需要拡大を期待して発注をキャンセルしなかった。この結果、コンテナ船がこの1~2年で急増し、稼働率を引き上げるための運賃値下げ競争が激化した。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、08年からこれまでに倒産した海運関連企業は約130社に上る。
\ベーレント会長は、供給過剰による危機に加え、先ごろ不動産・船舶向け新規融資を全面的に中止したコメルツ銀行などの大手銀行が船舶業界への融資を縮小していることが追い打ちをかけていると批判。「業界は事実上、コンセントを抜かれて動く力を失ったも同然だ。このままでは船舶産業拠点としてのドイツの地位は失われ、船員7万3,000人、陸上勤務2万3,000人の雇用が危機にさらされる」として、政府に支援を求めた。
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