世界3位の印刷インキメーカーSiegwerk(ジークブルク)の業績が底堅く推移している。新聞・雑誌などプリントメディア業界からの需要は減少しているものの、主力の包装材向け事業が安定しており、今年は売上高が初めて10億ユーロの大台に乗る見通しだ。ただ、原料費の高騰を顧客企業に転嫁するのが難しいという問題を抱えている。11日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
\Siegwerkは1830年創立の老舗で、綿紡績会社としてスタートした。同社によると、現在はタバコパッケージ用インキで世界1位、軟包装材・ラベル用インキで世界2位。オフセット印刷/UV印刷/紙・段ボール用印刷分野でも世界トップ5に入る。
\ボンの地方紙『ゲネラル・アンツァイガー』によると、ドイツのスーパーの棚に並ぶ商品パッケージや雑誌の印刷に使われているインクの8割は同社製という。世界100カ国以上に顧客を持ち、2011年の売上高は9億6,900万ユーロに上った。従業員数は4,400人。
\Siegwerkは競合のDICやFlintと同様、主に買収を通して事業を拡大してきた。フォルカー社長は「業界はまだまだ再編が必要」と述べ、主にアジア同業の買収に高い関心を示している。ただ、◇銀行は多額の負債を抱えた企業の買収に融資をしたがらない◇オーナー企業は独立性の喪失を恐れて買収提案に応じない――などの事情が再編プロセスの障害になっているという。
\原料高は経営圧迫の大きな要因だ。基本材料であるトルエン、エチレン、プロピレンの価格は過去3年間で2ケタ上昇、ロジンは2倍に跳ね上がった。川下への価格転嫁が困難なため、生産合理化を進めて吸収に努めている。
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