2011年8月に施行された大口需要家向け電力料金軽減規定(StromNEV)をめぐる係争でデュッセルドルフ高等裁判所は12日、同年分の負担義務免除は認められないとの判決を下した。負担金の計算が年単位であるのに対し、StromNEVには施行日以前にさかのぼって免除する規定がないこと、免除の前提となる負担金転嫁システムが11年には実質的に機能していなかったことを理由とした(訴訟番号:VI-3 Kart 46/12(V))。負担免除を受けた企業は免除額の全額返納を命じられる可能性がある。
\StromNEVは大口需要家の負担軽減を目的に11年8月に導入された制度で、電力使用量が年10ギガワット時、電力使用時間が同7,000時間(1日当たり約19時間)を超える事業所に対し、送電網使用料の支払い義務を免除するというもの。送電網使用料は電力料金のおよそ5分の1を占め、免除された額は消費者や小口需要家が負担する形になる。
\裁判を起こしたのは携帯電話サービス大手Vodafoneだ。同社はStromNEVの施行を受けて11年12月12日、デュッセルドルフにあるデータセンターの電力消費分について11年通期(55万5,000ユーロ)の負担義務免除をノルトライン・ヴェストファーレン州の所轄当局に申請した。これに対し州側は「免除が適用されるのは申請が受理された日以降」として全額免除を拒否した。だが、全国の電力網の監督機関である連邦ネットワーク庁が「11年1月にさかのぼっての請求が可能」との判断を示していたため、Vodafoneは州当局の判断を不当として提訴した。
\デュッセルドルフ高裁の担当法廷は先月14日、StromNEVをめぐる同様の訴訟案件で全額免除の法的根拠に強い疑義を表明。今回の判決では「いつから」を問わず11年分の免除は不可との判断を示した。
\同高裁は最高裁への上訴を認めており、判決は確定していない。
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