退職する被用者は退職証明書(Arbeitszeugnis)の発行を雇用主に要求できる。これは営業令(GewO)109条1項第1文で保障された権利である。同第2文にはさらに、勤務内容とその期間については最低限、明記されていなければならないとある。また第3文には、被用者は業績と勤務態度についても証明書に記載することを要求できると記されている。
\実際に発効される同証明書はこれらの規定に基づく記載に続いて、これまでの勤務に対する感謝の念と今後の成功を願う旨が記されることが多いが、被用者はこの文面についても記載を要求できるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁に連邦労働裁判所(BAG)が11日に判決(訴訟番号:9 AZR 227/11)を下したのでここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのは経営上の理由で2009年2月末に退職したホームセンターの店長K。雇用主が発行した退職証明書の末尾は「K氏は経営上の理由でわが社を退職しました。今後のご発展をお祈りいたします」と結ばれていた。
\これに対し原告は「長年の勤務を感謝するとともに、私生活と職業生活でのご多幸・ご発展をお祈りいたします」と書き直すよう要求。受け入れられなかったため提訴した。
\原告は第1審で勝訴したものの、第2審で敗訴し、最終審のBAGは第2審判決を支持した。判決理由で裁判官は、被用者が雇用主に記載を要求できるのは勤務内容とその期間、業績、勤務態度だけだと指摘。それ以外の内容については文の削除は要求できるが、書き換えは要求できないと言い渡した。
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